個人事業主の確定申告 Q&A「個人事業主の開業届 いつまでに出す?」。机の上に並べた開業届の用紙と青色申告承認申請書、その脇に置いた小さな卓上カレンダー

個人事業主の確定申告 Q&A

個人事業主の開業届 いつまでに出す?

公開 2026年8月5日 |監修 小野 好聡(公認会計士・税理士)

お答えします

開業届は、事業を始めた年の確定申告期限までに出せば期限内です。ただし青色申告をするなら、承認申請の締切が開業日から2か月で先に来ます。実際に急ぐのはこちらです。

本記事には広告(アフィリエイトリンク)が含まれます。リンク経由でサービスを利用された場合、当サイトに紹介料が支払われることがありますが、ユーザーが追加費用を負担することはありません。

解説

くわしい解説

二つの期限が、別々の日から動いている

所得税法229条は、新たに事業を始めた人が届出書を出す期限を「その事実があつた日の属する年分の所得税に係る確定申告期限まで」と定めています。確定申告期限は翌年3月15日ですので(同法120条1項)、6月に業務を開始した方なら、翌年の3月15日までに開業届を出せば期限内です。

青色申告の承認申請は、別の時計で動いています。144条は、原則としてその年の3月15日まで、その年の1月16日以後に業務を開始した場合は「その業務を開始した日から二月以内」と定めています。6月に業務を開始した方であれば、8月には締切が来ます。

青色申告をするつもりであれば、実際に守るべき締切はこの2か月のほうです。開業届と青色申告承認申請を同じ封筒で出すのが定着しているのは、期限の近い側に合わせているからです。

2か月は「業務を開始した日」から数える

144条が起算点に置いているのは「業務を開始した日」です。この日は、開業届に自分で記入します。そこに書いた日付が、そのまま青色申告承認申請の締切を決めます。

目安になるのは、報酬を得るための活動を継続して始めた日です。準備をしていただけの期間は、まだ業務の開始にあたりません。会社に勤めながら独立の支度をしていた方の場合、退職日と開業日は離れることがあります。

後から日付を説明できるよう、裏づけになる記録を残しておきます。最初の業務委託契約書、初回の請求書、納品の記録などが該当します。

開業届は事業を始めた年の確定申告期限まで、青色申告承認申請は業務を開始した日から2か月以内という、二本の期限を並べた図。
開業届の期限と、青色申告承認申請の期限は、別の日から数えます。

独立したとき、開業日をどこに置くか

フリーランスや業務委託で独立する方の手元には、近い時期の日付がいくつも並びます。退職日、最初の契約を結んだ日、最初に納品した日、最初に入金があった日です。

このうち事業を始めた日にあたるのは、報酬を得るための業務に実際に取りかかった日です。最初の契約を結んで作業を始めた日を開業日に置くと、契約書と作業記録がそのまま裏づけになります。入金日は取引先の支払サイトで決まりますので、開業日の目安としては動きすぎます。

退職金の受け取りや雇用保険の手続と時期が重なることもありますが、届出書に書く日付は事業の側の事実で決めます。

開業日より前に払った費用は、開業費になる

所得税法施行令7条1項1号は、開業費を「不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用」と定めています。名刺やウェブサイトの制作費、開業前の打合せの交通費などが該当します。

開業費は繰延資産にあたり、開業した年以後の必要経費に配分していきます。開業日を後ろに置けば開業費に回る範囲が広がり、前に置けばその年の必要経費が増えます。

同項の柱書は、開業費から「資産の取得に要した金額とされるべき費用及び前払費用」を除いています。パソコンや机のうち減価償却資産となるものの代金は、取得価額で各年の減価償却費として配分します。取得価額が少額で減価償却資産として扱わないものは、開業準備のための支出であれば開業費に回ります。

開業日を境に、それ以前の準備費用が開業費(繰延資産)となり、以後の支出が必要経費になる関係を示した図。資産の取得代金と前払費用は開業費から外れることも示す。
開業日より前の支出は開業費に、後の支出はその年の必要経費になります。

開業のときに、一緒に期限が動き出すもの

開業のときに動き出す期限は、この二つだけではありません。人を雇って給与を払い始めたら、給与支払事務所等の開設届出書を、その事実があった日から1か月以内に出します(所得税法230条)。取引先へ請求書を出す立場なら、適格請求書発行事業者の登録も検討することになります。

消費税に関する選択の届出には、開業した年ならではの扱いがあります。ふだんは適用を受けたい課税期間の前日までに出す決まりですが、事業を開始した日の属する課税期間から適用を受けるときは、その課税期間中に出せば間に合います。開業した年に大きな設備投資をして消費税の還付を受けたい場合は、この扱いを使います。

家族に手伝ってもらって給与を払うなら、青色事業専従者給与に関する届出書も要ります。期限は青色申告承認申請と同じで、その年の3月15日まで、1月16日以後に事業を開始した場合はその日から2か月以内です(同法57条2項)。

一次情報

根拠となる法令・通達・タックスアンサー等(原文)

所得税法 第57条第2項(青色事業専従者給与に関する書類の提出期限)(抜粋)

 その年分以後の各年分の所得税につき前項の規定の適用を受けようとする居住者は、その年三月十五日まで(その年一月十六日以後新たに同項の事業を開始した場合には、その事業を開始した日から二月以内)に、青色事業専従者の氏名、その職務の内容及び給与の金額並びにその給与の支給期その他財務省令で定める事項を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)(https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033)/2026-08-05 取得時点
根拠法令等:所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第57条第2項/同条第1項(青色事業専従者給与の必要経費算入)はタックスアンサー No.2075 を参照

所得税法 第120条第1項(確定所得申告)(抜粋)

第百二十条 居住者は、その年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額が第二章第四節(所得控除)の規定による雑損控除その他の控除の額の合計額を超える場合において、当該総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額からこれらの控除の額を第八十七条第二項(所得控除の順序)の規定に準じて控除した後の金額をそれぞれ課税総所得金額、課税退職所得金額又は課税山林所得金額とみなして第八十九条(税率)の規定を適用して計算した場合の所得税の額の合計額が配当控除の額を超えるとき(第三号に掲げる所得税の額の計算上控除しきれなかつた外国税額控除の額がある場合、第四号に掲げる金額の計算上控除しきれなかつた同号に規定する源泉徴収税額がある場合又は第五号に掲げる金額の計算上控除しきれなかつた予納税額がある場合を除く。)は、第百二十三条第一項(確定損失申告)の規定による申告書を提出する場合を除き、第三期(その年の翌年二月十六日から三月十五日までの期間をいう。以下この節において同じ。)において、税務署長に対し、次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)(https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033)/2026-08-04 取得時点
根拠法令等:所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第120条第1項前段/各号および第2項以下は省略

所得税法 第143条(青色申告)

第百四十三条 不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務を行なう居住者は、納税地の所轄税務署長の承認を受けた場合には、確定申告書及び当該申告書に係る修正申告書を青色の申告書により提出することができる。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)(https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033)/2026-08-05 取得時点
根拠法令等:所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第143条

所得税法 第144条(青色申告の承認の申請)

第百四十四条 その年分以後の各年分の所得税につき前条の承認を受けようとする居住者は、その年三月十五日まで(その年一月十六日以後新たに同条に規定する業務を開始した場合には、その業務を開始した日から二月以内)に、当該業務に係る所得の種類その他財務省令で定める事項を記載した申請書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)(https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033)/2026-08-05 取得時点
根拠法令等:所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第144条

所得税法 第229条(開業等の届出)

第二百二十九条 居住者又は非居住者は、国内において新たに不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始し、又は当該事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものを設け、若しくはこれらを移転し、若しくは廃止した場合には、財務省令で定めるところにより、その旨その他必要な事項を記載した届出書を、その事実があつた日の属する年分の所得税に係る確定申告期限までに、税務署長に提出しなければならない。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)(https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033)/2026-08-05 取得時点
根拠法令等:所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第229条

所得税法 第230条(給与等の支払をする事務所の開設等の届出)

第二百三十条 国内において給与等の支払事務を取り扱う事務所、事業所その他これらに準ずるものを設け、又はこれらを移転し、若しくは廃止した者は、財務省令で定めるところにより、その旨その他必要な事項を記載した届出書を、その事実があつた日から一月以内に、税務署長に提出しなければならない。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)(https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033)/2026-08-05 取得時点
根拠法令等:所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第230条

所得税法施行令 第7条第1項第1号(繰延資産の範囲・開業費)(抜粋)

第七条 法第二条第一項第二十号(繰延資産の意義)に規定する政令で定める費用は、個人が支出する費用(資産の取得に要した金額とされるべき費用及び前払費用を除く。)のうち次に掲げるものとする。

 開業費(不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用をいう。)

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)(https://laws.e-gov.go.jp/law/340CO0000000096)/2026-08-05 取得時点
根拠法令等:所得税法施行令(昭和四十年政令第九十六号)第7条第1項第1号/所得税法第2条第1項第20号(繰延資産の意義)

国税庁 タックスアンサー No.2070 青色申告制度(抜粋)

青色申告をすることができる方は、不動産所得、事業所得、山林所得のある方です。

(1)原則

新たに青色申告の申請をする方は、青色申告をしようとする年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出してください。

(2)新規開業した場合(その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合)

業務を開始した日から2か月以内に「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出してください。

(3)相続により業務を承継した場合

その年の1月16日以後に業務を承継した場合は、業務を承継した日から2か月以内に「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出してください。

出典:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm)/令和7年4月1日現在法令等
根拠法令等:所法2、52、57、70、70の2、140、143、144、148、149、151、所令144、145、所規56、57、61、63、65、所基通144-1、措法25の2、措規9の6、電子帳簿保存法2、4、5

国税庁 タックスアンサー No.2090 新たに事業を始めたときの届出など(抜粋)

個人が新たに事業を始めたときの所得税、源泉所得税、消費税に関する届出書等とその提出期限

所得税

個人事業の開廃業等届出書事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで

所得税の青色申告承認申請書原則、青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後、新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合には、その事業開始等の日から2月以内。)

青色事業専従者給与に関する届出書青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後開業した場合や新たに事業専従者を有することとなった場合には、その日から2か月以内)

所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書次の事由が生じた日の属する年分の確定申告期限まで

源泉所得税

給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書開設、移転又は廃止の事実があった日から1か月以内

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書随時(原則として、提出した日の翌月に支払う給与等から適用されます。)

消費税

消費税課税事業者選択届出書適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで(選択しようとする課税期間が事業を開始した日の属する課税期間等である場合には、その課税期間中)

消費税簡易課税制度選択届出書原則として、適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで(選択しようとする課税期間が事業を開始した日の属する課税期間等である場合には、その課税期間中)

適格請求書発行事業者の登録申請書(国内事業者用)事業を開始した日の属する課税期間等の初日から登録を受けようとする場合には、その課税期間中

なお、都道府県税事務所、年金事務所、労働基準監督署等にも届出書等の提出が必要となる場合もありますので、各行政機関へご確認ください。

出典:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2090.htm)/令和8年1月1日現在法令等
根拠法令等:所法16、57、144、166、216、217、229、230、所令100、123、所規98、99、消法9、19、21、37、57の2、消令70の4、消規11、13、17

※引用は原文のままです。読みやすさのため改行位置を調整し、一部を抜粋している箇所があります(編集・加工を行った部分)。最新の内容は必ず出典元のページでご確認ください。

個人事業主の場合

個人事業主・業務委託・フリーランスの場合、ここが分かれ目

会社を辞めた日をそのまま開業日として書くと、青色申告承認申請の2か月がその日から動き出します。実際に業務を始めたのが1か月後だった場合、申請に使える時間はその分だけ短くなってしまいます。退職日と開業日は、別々の事実です。

独立の前から副業として同じ仕事を続けていた方は、事業の開始が退職の時点よりさかのぼります。この場合、2か月をすでに過ぎていることがあります。そのときはその年分を白色で申告し、翌年分から青色申告を受けるために、翌年の3月15日までに承認申請を出します。

※実際の取扱いは業態・契約・実態により異なります。個別の判断は税理士または所轄税務署にご確認ください。

相談先

判断に迷ったときの相談先

ここまでの線引きは、実際の契約や業務の実態によって結論が変わります。 判断がつかない支出がある、金額が大きい、過去分もさかのぼって直したい——そうした場合は、早めに専門家に確認したほうが結果的に安く済みます。 依頼先の探し方は大きく 2 通りあります。

全国の個人事業主が確定申告を相談できる税理士を無料で紹介してもらう — 税理士ドットコム トップページのスクリーンショット

推奨

運営:弁護士ドットコム株式会社(東証プライム上場)

税理士ドットコム

全国 6,800 名以上の税理士から無料で紹介を受けられる、東証プライム上場企業運営の税理士マッチングサイト。料金や得意分野で比較可能。

こんな方に:事業所得・不動産所得・相続など複雑な申告がある方

税理士ドットコムで無料相談する →

全国の個人事業主が記帳代行や確定申告書の作成を料金明示で比較する — ココナラ 確定申告・税務サービス検索結果のスクリーンショット

運営:株式会社ココナラ(東証グロース上場)

ココナラ

スキルシェアマーケットプレイス最大手。リンク先は確定申告・税務のカテゴリで、記帳代行・確定申告書の作成代行・スポット相談などのサービスが「スキル」単位で出品されており、対応範囲・料金・納期・レビューを商品ページで比較できます。

こんな方に:決算だけ・1 期分だけといった単発の依頼を、明示価格で比較したい方

ココナラで確定申告サービスを探す →