個人事業主の確定申告 Q&A
お答えします
本来の所得税に加えて、無申告加算税と延滞税がかかります。無申告加算税の割合は、税務署の調査の事前通知が来る前に自分から出したか、調査を受けてから出したかで変わります。いちばん軽く済むのは、通知の前に自分で出した場合です。
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一解説
確定申告書を期限までに出していない年があると、その年の申告は期限後申告として扱われます。納める所得税のほかに、無申告加算税が課されます。
割合は、出す時期で三つに分かれます。税務署からの調査の事前通知の前に自分から出した場合は5パーセントです。事前通知の後、調査による決定を予知する前に出した場合は10パーセントで、令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するもの(令和5年分以降)については、50万円を超え300万円までの部分が15パーセント、300万円を超える部分が25パーセントになります。
調査を受けた後に出した場合や、税務署から所得金額の決定を受けた場合は15パーセントで、50万円を超える部分は20パーセントです。300万円を超える部分が30パーセントになるのは、こちらも令和5年分以降です。同じ税額でも、動く時期によって上乗せされる金額が変わります。
業務委託で受け取った報酬は、支払った側では外注費や支払手数料として帳簿に記録されています。誰にいくら、いつ払ったかが相手の側に残りますので、こちらが申告していなくても、取引そのものの記録は残ります。
国税通則法74条の2第1項1号ハは、所得税の調査で質問や帳簿の検査ができる相手として、納税者本人のほかに、その人へ金銭の給付をする義務があったと認められる者を挙げています。取引先の側から確かめられる仕組みが置かれているということです。
原稿料、デザイン料、講演料のように所得税法204条1項1号に挙がる報酬であれば、支払った側は源泉徴収をしたうえで支払調書を税務署へ提出します(同法225条1項3号)。支払調書が提出されていれば、報酬の額はこちらの申告を待たずに税務署へ届きます。
期限後申告で納める税金は、申告書を提出した日が納期限になります。あわせて、納付の日までの延滞税を納めます。延滞税は日数に応じて増えますので、申告書を出す日と納める日はそろえておくのが実際的です。
売上を除いたり、請求書や帳簿を作り変えたりして申告しなかった場合は、無申告加算税に代えて重加算税が課されます。国税通則法68条2項は、その割合を納付すべき税額の百分の四十と定めています。なお条文は、調査による更正や決定があるべきことを予知せずに提出した場合を、この重加算税から除いています。
記帳が追いつかないまま期限を過ぎた場合と、事実を隠した場合とでは、扱いが分かれます。分かれ目は、条文にある「隠蔽し、又は仮装した」にあたるかどうかです。
国税通則法70条1項は、更正または決定ができる期間を、法定申告期限から5年としています。何年も申告していない場合は、この範囲がまとめて対象になります。
同条5項1号は、偽りその他不正の行為により税額を免れていた場合について7年としています。
5年分をさかのぼって作るとなると、通帳、請求書、経費の領収書を年ごとにそろえ直すことになります。取引先に再発行を頼める書類もありますので、手元にないものから先に当たっていくと進みます。
まだ税務署から連絡が来ていない段階であれば、自分から出した期限後申告として5パーセントの割合になります。さらに、法定申告期限から1か月以内に自主的に出し、納める税金の全額を法定納期限までに納めていて、過去5年間に無申告加算税や重加算税を課されたことがないなどの要件を満たすときは、無申告加算税はかかりません。
期限を過ぎた申告では、取り戻せないものもあります。青色申告特別控除には、その年の確定申告期限までに申告書を提出することを要件とする枠があり、期限後の申告はその要件を満たしません。
赤字の年についても同じです。青色申告をしている方の純損失の繰越控除は、損失が生じた年分の確定申告書を提出し、その後も連続して確定申告書を提出していることが条件です(所得税法70条4項)。こちらは期限内の提出までは求められていませんので、期限後の申告であっても、青色申告をしていて申告書がそろっていれば繰り越せます。出していない年があると、そこで繰越が途切れます。
二一次情報
所得税法 第70条第4項(純損失の繰越控除の適用要件)(抜粋)
4 第一項又は第二項の規定は、これらの規定に規定する居住者が純損失の金額が生じた年分の所得税につき確定申告書を提出し、かつ、それぞれその後において連続して確定申告書を提出している場合に限り、適用する。
所得税法 第204条第1項(源泉徴収義務・報酬、料金等に係る源泉徴収義務)(抜粋)
第二百四条 居住者に対し国内において次に掲げる報酬若しくは料金、契約金又は賞金の支払をする者は、その支払の際、その報酬若しくは料金、契約金又は賞金について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。
一 原稿、さし絵、作曲、レコード吹込み又はデザインの報酬、放送謝金、著作権(著作隣接権を含む。)又は工業所有権の使用料及び講演料並びにこれらに類するもので政令で定める報酬又は料金
二 弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、測量士、建築士、不動産鑑定士、技術士その他これらに類する者で政令で定めるものの業務に関する報酬又は料金
三 社会保険診療報酬支払基金法の規定により支払われる診療報酬(略)
四 職業野球の選手、職業拳闘家、競馬の騎手、モデル、外交員、集金人、電力量計の検針人その他これらに類する者で政令で定めるものの業務に関する報酬又は料金
五 映画、演劇その他政令で定める芸能又はラジオ放送若しくはテレビジョン放送に係る出演若しくは演出(指揮、監督その他政令で定めるものを含む。)又は企画の報酬又は料金その他政令で定める芸能人の役務の提供を内容とする事業に係る当該役務の提供に関する報酬又は料金(これらのうち不特定多数の者から受けるものを除く。)
六 キャバレー、ナイトクラブ、バーその他これらに類する施設でフロアにおいて客にダンスをさせ又は客に接待をして遊興若しくは飲食をさせるものにおいて客に侍してその接待をすることを業務とするホステスその他の者(以下この条において「ホステス等」という。)のその業務に関する報酬又は料金
七 役務の提供を約することにより一時に取得する契約金で政令で定めるもの
八 広告宣伝のための賞金又は馬主が受ける競馬の賞金で政令で定めるもの
所得税法 第225条第1項(支払調書及び支払通知書)(抜粋)
第二百二十五条 次の各号に掲げる者は、財務省令で定めるところにより、当該各号に規定する支払(……)に関する調書を、その支払(……)の確定した日(……)の属する年の翌年一月三十一日まで(……)に、税務署長に提出しなければならない。
三 居住者又は内国法人に対し国内において第二百四条第一項各号(報酬、料金等に係る源泉徴収義務)に掲げる報酬、料金、契約金若しくは賞金、第二百九条の二(定期積金の給付補塡金等に係る源泉徴収義務)に規定する給付補塡金、利息、利益若しくは差益又は第二百十条(匿名組合契約等の利益の分配に係る源泉徴収義務)に規定する利益の分配につき支払をする者
九 前号に該当するものを除くほか、国内において不動産、不動産の上に存する権利、船舶若しくは航空機(以下この号において「不動産等」という。)の貸付け(地上権又は永小作権の設定その他他人に不動産等を使用させることを含む。以下この号において同じ。)若しくは不動産等の譲渡に係る対価又は不動産等の売買若しくは貸付けのあつせんに係る手数料の支払をする法人又は不動産業者(政令で定めるものに限る。)である個人
十三 居住者又は恒久的施設を有する非居住者が国内において行つた第二百二十四条の五第二項(先物取引の差金等決済をする者の告知)に規定する差金等決済に係る同項に規定する先物取引の同条第一項各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者
国税通則法 第68条第2項(重加算税)(抜粋)
2 第六十六条第一項(無申告加算税)の規定に該当する場合(同項ただし書若しくは同条第九項の規定の適用がある場合又は納税申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正又は決定があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、かつ、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき法定申告期限までに納税申告書を提出せず、又は法定申告期限後に納税申告書若しくは更正請求書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、無申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠蔽し、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る無申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の四十の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。
国税通則法 第70条(国税の更正、決定等の期間制限)(抜粋)
第七十条 次の各号に掲げる更正決定等は、当該各号に定める期限又は日から五年(第二号に規定する課税標準申告書の提出を要する国税で当該申告書の提出があつたものに係る賦課決定(納付すべき税額を減少させるものを除く。)については、三年)を経過した日以後においては、することができない。
一 更正又は決定……その更正又は決定に係る国税の法定申告期限(還付請求申告書に係る更正については当該申告書を提出した日とし、還付請求申告書の提出がない場合にする第二十五条(決定)の規定による決定又はその決定後にする更正については政令で定める日とする。)
5 次の各号に掲げる更正決定等は、第一項又は前二項の規定にかかわらず、第一項各号に掲げる更正決定等の区分に応じ、同項各号に定める期限又は日から七年を経過する日まで、することができる。
一 偽りその他不正の行為によりその全部若しくは一部の税額を免れ、又はその全部若しくは一部の税額の還付を受けた国税(当該国税に係る加算税及び過怠税を含む。)についての更正決定等
国税通則法 第74条の2第1項(当該職員の所得税等に関する調査に係る質問検査権)(抜粋)
第七十四条の二 国税庁、国税局若しくは税務署(以下「国税庁等」という。)又は税関の当該職員(……)は、所得税、法人税、地方法人税又は消費税に関する調査について必要があるときは、次の各号に掲げる調査の区分に応じ、当該各号に定める者に質問し、その者の事業に関する帳簿書類その他の物件(……)を検査し、又は当該物件(……)の提示若しくは提出を求めることができる。
一 所得税に関する調査……次に掲げる者
イ 所得税法の規定による所得税の納税義務がある者若しくは納税義務があると認められる者又は申告書を提出した者
ロ 所得税法第二百二十五条第一項(支払調書及び支払通知書)に規定する調書、同法第二百二十六条第一項から第三項まで(源泉徴収票)に規定する源泉徴収票又は同法第二百二十七条から第二百二十八条の三の二まで(信託の計算書等)に規定する計算書若しくは調書を提出する義務がある者
ハ イに掲げる者に金銭若しくは物品の給付をする義務があつたと認められる者若しくは当該義務があると認められる者又はイに掲げる者から金銭若しくは物品の給付を受ける権利があつたと認められる者若しくは当該権利があると認められる者
国税庁 タックスアンサー No.2024 確定申告を忘れたとき(抜粋)
所得税法では毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について、翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告を行い、所得税を納付することになっています。
しかし、期限内に確定申告を忘れた場合でも、その事実を把握した際には、できるだけ早く申告するようにしてください。この場合は、期限後申告として取り扱われます。
また、期限後申告をしたり、所得金額の決定を受けたりすると、申告内容等によっては、納める税金のほかに無申告加算税が課されます。
加算税
1 税務署からの調査の事前通知の前に自主的に期限後申告をした場合
税務署からの調査の事前通知の前に自主的に期限後申告をした場合は、納付すべき税金のほかに、納付すべき税金に5パーセントの割合を乗じた金額の無申告加算税がかかります。
2 税務署からの調査の事前通知の後に期限後申告をした場合(調査による決定を予知する前の期限後申告)
(1) 税務署からの調査の事前通知の後に期限後申告をした場合(調査による決定を予知する前の期限後申告)には、納付すべき税金のほかに、納付すべき税金に10パーセントの割合を乗じた金額の無申告加算税がかかります。
ただし、納付すべき税金が50万円を超えている場合、その超えている部分については15パーセントの割合になります。
また、令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するもの(令和5年分以降)については、納付すべき税金が、50万円までの部分は10パーセント、50万円を超え300万円までの部分は15パーセント、300万円を超える部分は25パーセントの割合になります。
3 税務署の調査を受けた後に期限後申告をした場合(調査による決定を予知した期限後申告)
(1) 税務署の調査を受けた後に期限後申告をした場合や税務署から申告納税額の決定を受けた場合には、納付すべき税金のほかに、納付すべき税金に15パーセントの割合を乗じた金額の無申告加算税がかかります。
ただし、納付すべき税金が50万円を超えている場合、その超えている部分については20パーセントの割合になります。
また、令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するもの(令和5年分以降)については、納付すべき税金が、50万円までの部分は15パーセント、50万円を超え300万円までの部分は20パーセント、300万円を超える部分は30パーセントの割合になります。
5 期限後申告であっても、次の要件をすべて満たす場合には無申告加算税はかかりません。
(1) その期限後申告が、法定申告期限から1か月以内に自主的に行われていること。
(2) 期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合に該当すること。
なお、一定の場合とは、次のイおよびロのいずれにも該当する場合をいいます。
イ その期限後申告に係る納付すべき税金の全額を法定納期限(口座振替納付の手続をした場合は期限後申告書を提出した日)までに納付していること。
ロ その期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税または重加算税を課されたことがなく、かつ、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていないこと。
延滞税
期限後申告によって納める税金は、申告書を提出した日が納期限となりますので、その日に納めてください。
また、この場合は、納付の日までの延滞税を併せて納付する必要があります(延滞税の計算方法については、こちらを参照してください。)。
国税庁 タックスアンサー No.2072 青色申告特別控除(控除を受けるための要件と申告期限)(抜粋)
55万円の青色申告特別控除
この55万円の控除を受けるための要件は、次のようになっています。
(1)不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいること。
(2)これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること。
(3)(2)の記帳に基づいて作成した貸借対照表、損益計算書および所得の金額の計算に関する明細書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、その年の確定申告期限(翌年3月15日)までに当該申告書を提出すること。
(注4) 還付申告書等を提出する方であっても、55万円または65万円の青色申告特別控除の適用を受けるためには、その年の確定申告期限(翌年3月15日)までに当該申告書を提出する必要があります。
65万円の青色申告特別控除
この65万円の控除を受けるための要件は、次のようになっています。
(1) 上記「55万円の青色申告特別控除」の要件に該当していること。
(2) 次のいずれかに該当していること。
イ その年分の事業に係る仕訳帳および総勘定元帳について、電子帳簿保存(下記<参考>参照)を行っていること(※注1)。
ロ その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表、損益計算書等の提出を、確定申告書の提出期限までにe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して行うこと(※注2)。
10万円の青色申告特別控除
この控除は、上記「55万円の青色申告特別控除」および「65万円の青色申告特別控除」の要件に該当しない青色申告者が受けられます。
※引用は原文のままです。読みやすさのため改行位置を調整し、一部を抜粋している箇所があります(編集・加工を行った部分)。最新の内容は必ず出典元のページでご確認ください。
三個人事業主の場合
会社を辞めて独立した年に、給与の年末調整が済んでいるからと申告をしていない方がいらっしゃいます。退職後に受け取った業務委託の報酬は年末調整の対象に入りませんので、その分は申告して初めて精算されます。源泉徴収されていた報酬であれば、申告した結果として還付になることもあります。
取引先が複数あると、1社あたりの金額が小さくても合計は大きくなります。申告するのは合計額ですので、振込先の口座を分けている方は、口座ごとの入金を先に一覧にしておくと、抜けが見つけやすくなります。
※実際の取扱いは業態・契約・実態により異なります。個別の判断は税理士または所轄税務署にご確認ください。
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